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「タンニグッチクーン、エイガ、イッコー」 2011年10月 |
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人生初の映画『オズの魔法使い』で、 一人置いてけぼりを食らった格好の僕も 二度目の映画『ダンボ』で救われた。 耳の大きいことでいじめられていた小象の「ダンボ」が、 ある日突然その大きい耳をはばたかせ空を翔んだ。 それまでのことがウソのようにサーカスの大人気者となる。 僕は思いっきり「ダンボ」になりきって爽快に空中を舞った。 映画館がそれまでの不可解なスペースから、 夢いっぱいの別世界へと変わった瞬間だった。 その僕の気持ちに拍車をかけるかのように 大牟田から福岡へ引っ越すと、 歩いてほんの4、5分のところに 映画館があった。 今でも僕の心に燦然と輝く「六本松第一」だ。 ちょっと小振りの映画館で、子どもの為の 割安日曜早朝サービスタイムも あるというのに、 西側脇のちょっとくたびれたドアが 無防備に開いたりしてると ズルっこして入ったこともあった。 『ダンボ』ですっかり気をよくした僕は新作がかかる度、 別世界へと足を運んだ。 うちの隣りに住むひとつ年下の谷口くんは 無二の親友で映画の友でもあった。 たまには弟も誘いなさいと母は言ったが 「六本松第一」は、 小五から小六にかけて クラスでも浮いていた僕の憂さ晴らしの場であり 現実逃避の場でもあったので、 身近すぎる弟と一緒では塩梅が悪かった。 五十年も前の日曜の僕の能天気なひと声を未だに弟は、 得意気に口真似をしてみせる。 「タンニグッチクーン、エイガ、イッコー」 | ||||||||
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| 9月 |
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