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monthly panda back issue
「カラフルな会話」       2008年7月


近頃は、天井のスピーカーから降ってくるベース音が
やたらと響くサウンドの中に埋もれて、
ひとりゆったりと湯船に浸かるのが至福の時間となった。
でも息子が幼い頃、お風呂は、ふたりの楽園だった。
オモチャの舟を浮かべたり、思う存分、水鉄砲で騒いだ。
幼稚園でその日教わった唄を、
得意気に披露する息子の顔も忘れられない。

  ♪おすもうクマちゃんクマの子ちゃん
  ハーッケヨイヨイ ハッケヨイ ハッケヨイ
  ちっかり ちっかりちっかりね♪

これが僕は大好きで、湯あたりする程に何度も唄ってもらった。
気がつけば小学校三、四年生あたりで
一緒に風呂に入ることは無くなっていた。
だから大阪に住む大学一年生の男の子が父の日に寄せた
新聞の投稿にはちょっとびっくりした。

  『おやじとは昔からよく一緒に風呂に入ったものだ。
  疲れてるだろうに、
  休日は公園で野球やサッカーを教えてくれ、
  帰って風呂に入りながら
  学校やプロ野球のことを喋った。
  年を重ねるごとに風呂での話題は変わり、
  受験の時は進路の相談になった。
  この年でおやじと風呂に入るのは
  世間では珍しいかもしれないが、
  僕は幸せだと思っている。
  おやじ、いつも本当にありがとう。
  これからもずっと仲良く風呂に入ろうな。』

いやあ、僕等父子も相当仲良しだけど、
大学生になった息子と素っ裸ではやっぱり、落ち着かないな。
それにしても何とあけっぴろげで潔い父子なんだろう。
メール、メールのまるでモノトーンの世の中にあって
彼等のあっけらかんとした会話が
カラフルに弾んで聞こえてきそうで
本当、身も心もポッカポカになる。


 
 
 
「めづらしや山を出羽の初茄子」
芭蕉
 
6月 7月 8月
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