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monthly panda back issue
「いまだに不可解な初体験!」        2011年9月


僕のラジオでは今、「映画鑑賞懐かしのあの日あの時」
をやっている。
『オズの魔法使い』は僕の人生初の映画だ。
授業の一環として小3の僕らは、学年全員で学校からぞろぞろ
4、50分も歩いて市街地へ出かけてって観た。
生れて初めての映画館は僕にはとても刺激的で
いっぱい並んだイスの間をかけ廻ったり
真白なスクリーンを間近まで行ってボーッとみつめたりしてた。
「ヤマダー、お前の席はここぞー」の声に我に帰った途端、
まるで500匹もの蝉が一斉に 鳴き始めたかのような
ブザーの音が耳をつんざいた。
1954年、9歳だった僕はその大画面に いきなり映し出された
別世界に圧倒されながらも 主役級の“ブリキの人形”に
釘付けとなった。
人間と同じ様に動き、どうやら喋ってるようだ。
「こりゃおかしか〜 どげんなっとっと……?」
僕のオロオロする気持ちとは裏腹、
皆、落ち着き払って観ている。
たまらず隣の女子に声をかけた。
「ねぇ、何でブリキの人形が動きよっと? ねぇ何でね」
「シ〜ッ、うるさかよ」
わだかまりをめいっぱいひきずって、
人生初の映画は終わった。
僕の中では未だにあの名曲
『オーバー・ザ・レインボー』とは 結びついていない。
僕にとって『オズの魔法使い』は、
ただただ奇怪なブリキの人形が
動いているだけのものとなっている。
残念でならない。



 
 
   
 
 
 
8月 9月 10月
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